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高尾駒木野庭園がオープン-大正時代の住居兼医院を改装、回遊式庭園も

旧小林家を改装した「高尾駒木野庭園」

旧小林家を改装した「高尾駒木野庭園」

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 高尾梅郷にもほど近い裏高尾に4月8日、大正時代に建設された住居兼医院を生かした日本庭園「高尾駒木野庭園」(八王子市裏高尾町)がオープンした。

園内にはコイが泳ぐ池も

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 同園は駒木野病院(裏高尾町)の隣に立地。1927(昭和2)年に同院の前身である「小林医院」が開設された場所で、当時は住居兼医院として利用されていた。敷地面積は2900平方メートル。大正時代に建設された平屋の母屋と昭和初期に増築された2階屋が残る。

 2009年には小林家が土地・建物を市に寄付。今回、持ち主の意向を受け、外観を残したまま庭園として改装し直した。

 「八王子市民として高尾山についてはもったいないなと思っていた」と同園の運営に関わるアルミサッシなど建具の設計・施工を本業とする「たなべ物産」(元本郷町4)社長の田辺裕康さん。JR豊田駅近くの「多摩平団地」(日野市多摩平)でリノベーション事業に関わるなど地元との関係づくりに注力する同社。「施設の運営は初めてだが、建設から一つ足を外に出したくらいの話なので新しいチャレンジとして取り組んでみることにした」という。

 「大正末期に建てられた建物と日本庭園が整備されるということで、一社の能力だけではできない」と田辺さん。そこで今回は同社に加え、造園業者である苑友造園、芸術文化活動を行っている「NPOアート多摩」から成る共同体「駒木野庭園アーツ」を結成。市の指定管理者として運営を行うことにした。「3つの力を結集して管理をしようということになった」

 建物内の改装については照明の新設やバリアフリー対応のトイレなどを増設する一方、できる限り当時のものを生かすよう配慮。サッシは木製のまま残し、ガラス戸に取り付けられている古いタイプの鍵は磨いてきれいにするなど住まわれていたころの姿を残す。「ほとんど間取りも変わっていない。使えるところは残して、補修が必要なところだけ手が入っている」と田辺さん。

 庭については、池泉回遊式の日本庭園を整備。100匹ほどのコイが泳ぐ池や盆栽のほか、オミナエシ、ブライダルアイシング、染井殿などの種や苗木も植えた。「自生しているものも含めて花暦ができるくらいに折々のものが植わっているので、いつ来ても楽しめるようになるのでは」と田辺さん。室内からは庭の枯れ山水、露地などを望む事もできる。

 七夕など季節に合わせてイベントも開いていく計画。今後は地域のミーティングなどの際に使えるよう和室の部屋貸しにも対応するほか、ゆくゆくは「女性庭師養成講座」などの展開も見込む。「市としても高尾山の観光振興の一つの核にしたいという思いがある」と田辺さん。近隣の高尾梅郷なども含めて同園を中心とした「里山歩きマップ」のようなものの制作なども狙い、「裏高尾にもこういうものができたということで、文化とか観光の中心になるようなイベントも行っていきたい」と意気込む。

 開園時間は、4月~8月=9時~18時、9月~10月=9時~17時、11月~3月=9時~16時。入場無料。

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