ホテルのコックから教員に-八王子の専修学校、卒業生を採用

卒業した大竹高等専修学校に教員として戻ってきた小林さん

卒業した大竹高等専修学校に教員として戻ってきた小林さん

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 大竹高等専修学校(八王子市台町3)は4月、これまでホテルでコックとして働いていた同校の卒業生・小林美沙さんを教員として迎えた。

小林さんと食物科学科長の中野さん

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 家政科、食物科から成る同校。食物科は卒業と同時に調理師免許が取得できる。小林さんは2009年に同校を卒業後、2年半にわたってホテルでコックとして勤務。同校からの誘いを受け、教員という立場で母校に舞い戻った。

 同校食物科学科長の中野さんの推薦を受け、教員として採用。小林さんは最初、「人に教えられる立場になれるのか」と戸惑ったものの、「私はここに来て良かったと思っているので、生徒にも私と同じように思ってもらいたいと入ることにした」と話す。

 「もともとお菓子やご飯を作ることが好きだった」と小林さん。「父が和食をやっていて、その影響もあると思う」。中学時代の先生の薦めもあり同校に進学。「周りの子と実習中、どっちが先にできるかなど切磋琢磨(せっさたくま)しながらやってきた」と振り返る。

 卒業後はパレスホテル立川(東京都立川市)に就職。「場所と人と流れを覚えることに1カ月、1年があっという間に過ぎた」と小林さん。「結婚式など大きなものだと一気に100人前作って、お客さんに提供していく。高校のころとは流れも仕組みも全く違ったので、すごく大変だった」。ディナーショーの時には深夜まで仕込みを行い、家に戻った数時間後には出勤するようなこともあったという。

 今回推薦した中野さんも同校系列の八王子栄養専門学校(台町3)を卒業後、イタリアンの世界で経験を積み教員として採用された。教員採用に当たっては、「現場でしっかりと技術がある程度身に付くまで働く。経験値がなければ生徒たちに教えることはできない」と中野さん。その上で、「学校に対して愛情を持って、この学校で働いて良かったと思える人がいいのであれば、卒業生しかいないと行き着いた」と話す。

 小林さんは今後、授業中の調理助手を務めるほか、イベントでの補助やクラスの副担任などを受け持つという。「高校の時の通学路を通勤として通うので、すごく違和感がある」と小林さん。「先生たちの期待通りに行くということはないと思うが、それを上回れるようになりたい」と話したうえで、「憧れられる先生になりたい」と笑顔で意気込む。中野さんも「ポジティブな心が育てられる教員になってほしい」と期待を込める。

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