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高尾山で恒例「火渡り祭」-震災から2年、被災地復興へ祈りも

裸足で火の上を歩く山伏姿の修験者

裸足で火の上を歩く山伏姿の修験者

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 高尾山薬王院(八王子市高尾町)で3月10日、春の恒例行事「高尾山火渡り祭」が行われた。会場は同院自動車祈祷殿広場。

「被災地復興」の願いを込めた護摩木も

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 同院は真言宗智山派の大本山。高尾山麓にある同殿では日頃、交通安全祈とうが行われている。火渡り祭は2つの荒行「水の行」「火の行」のうち、「火の行」を一般公開するもので、毎年3月の第2日曜に開催。

 火をたいて祈りをささげる護摩(ごま)修行としては同院最大の行事として知られる同祭。今回は同院のほか陸奥国分寺、甲州修験道など全国各地から修験者が集まった。当日は八王子アメダスが3月としては観測史上最高となる26.6度を記録するなど気温が上がる中、13時に開始。式の前には観客に向けて同院僧侶が、「一昨年の大震災から2年がたち、3回忌の年に当たる」とした上で、「震災犠牲者への鎮魂の祈りを私たちともども、皆さまにも一緒にささげてほしい」と呼び掛けた。

 中央にはヒノキの葉で組まれた護摩壇を設置。願いが書かれた護摩木の中には、「身体健全」「家内安全」などと合わせて、「被災地復興」の文言も見られた。護摩の木を切り出す「神斧(しんぷ)」、魔を断ち切る「寶剣(ほうけん)」、魔を入り込ませないよう弓を放つ「寶弓(ほうきゅう)」、願いを読み上げる「願文(がんもん)」などの儀式の後、採火した火をヒノキの葉に付けた。

 葉は火が付けられると勢いよく燃え上がり、わずか数分で大きな火柱へと成長。その周りを祭りの時のみ配布されるお守り「梵天(ぼんてん)札」を刺したみこしを担いで山伏姿の修験者が回ったほか、一般の人が願い事を書き込んだ「撫(な)で木札」も次々に火の中へと投入された。手元の温度計が40度近くまで上がる中、読経は続けられ、「一心祈願」の言葉に続き、事業繁栄、学業成就、交通安全などとともに、被災地復興の祈りもささげられた。

 火が静まった後は修験者が残り火の上を素足で歩く修行「火生三昧(かしょうさんまい)」を実践。その後を一般の参加者も「御信徒火渡り」という形で続いた。参加者の列は会場を取り囲むように伸び、順番待ちの状態に。素足でかけるように渡る姿を写真に収める人も多かった。

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