八王子・恩方地区の魅力を紹介するイベント「五感ロックとオンガタ社会科見学」が3月15日、八王子市夕やけ小やけふれあいの里（八王子市上恩方町）などで行われる。

チラシのデザインについて話し合う生徒たち

　恩方地区の企業などが加盟し、「商店街がない商店会」をうたう「オンガタ銀座商店会」が企画した同イベント。「視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚をオンガタで感じる」をテーマに、さまざまなワークショップなどを開く。2023年から毎年行われており、今回で3回目を迎える。

　同施設ではさまざまなワークショップを行う。アパレルアイテムの製作などを行っている「YAN PRINTWORKS」（西寺方町）、食品製造などを手がけるピースメイキング（片倉町）などは初参加。

　精密板金部品の製造などを行っている小沢製作所（美山町）は、自社のアウトドアブランド「OZOPS（オズオプス）」の製品を使った、たき火体験などを行うほか、一般未発表という新商品の体験企画も用意する。釣り堀「八庵」（上恩方町）はニジマスの塩焼き体験と試食、小池製作所（下恩方町）は自社で開発したドリップ用のコーヒースタンドを使ったドリップコーヒーを入れる体験などを行う。

　NPO法人「恩方ベース」（上恩方町）、子ども食堂「オンガタ食堂」などを手がけるNPO法人「恩方キッズ」、八王子市小津町の地域活性化に向けて取り組むNPO法人「小津倶楽部（くらぶ）」なども参加する。会場ではけん玉、こまなどで遊ぶ「昔遊び体験」や、じゃんけん大会などの企画も行う。

　会場外にある作家のアトリエでもイベントを行う。陶器作家の上島かな子さんが陣馬山麓に設けているアトリエ「調麓窯」や、革小物の製作などを手がける竹沢むつみさんによる「salikhlah.（サリヒラフ）」では体験企画を用意する。

　聖パウロ学園高校（下恩方町）の生徒有志も出店する。今回はイノシシ肉を使ったギョーザや、恩方地区で採れたブルーベリーを使ったトゥンカロン、学校で作った梅干しを使ったラッシーの3商品を販売する。それぞれ生徒自らが考案し、商店会のメンバーが開発の際にアドバイスするなど伴走支援したメニューだという。

　同校生徒は「探究」の授業の一環で、昨夏から商店会とプロジェクトを進めた。同校2年生の岡村光國さんは「恩方で獣害を与えているイノシシを有効活用したいと思い、ギョーザであれば全世代で嫌いな人はいないだろうと作ることにした。チラシや商品に貼るシール、看板のデザインも自分たちで作った。若い人はジビエに興味がなかったり、恩方での獣害も知らない人が多かったりする。食べることで知ってもらい、獣害の新たな対策に生かせたら」と話す。

　ギョーザはその場で焼いて販売するという。岡村さんは「キムチや豚肉などと合わせることで、イノシシ臭さもなくおいしい物ができた。たれを付けなくてもおいしい」と自信を見せる。

　ラッシーは教員が育てている梅の木から作った梅干しを生かしたメニューで、2年生の大塚萌衣梨さんは「梅干しの味がちゃんと味わえる物になった。恩方特産の梅を使ったラッシーはなかなかないので、飲んでほしい」と話す。

　イベントに企画から携わる小沢製作所の小沢達史社長は「生徒たちが地域の課題を自分たちの好きなことや興味とつなげて事業にしたのが一番大事で価値があるところ。探究の授業は全国でいろいろあると思うが、私たち大人を巻き込んで主体的に行動したのは大きいと思う。生徒たちもわれわれも大変なので、なかなかまねはできないかもしれないが、恩方発でできたことはすごい」と話す。

　CREAP（西寺方町）社長で商店会会長の門脇大輔さんは「若者のやりたいことを年長者が応援することで、若者をどんどん押し上げ、魅力のある地域だと思ってもらえるようにしたい。新たな事業が生まれたり、住む人が増えたり、地域に参加してくれる人が増えることにつながるはず。都会に出るだけでなく地元での就職や暮らしも考えてもらえたら」と話す。

　開催時間は10時～14時。同施設の入場料200円が必要。各ワークショップなどの参加には別途料金がかかる。当日は西東京バス（明神町3）の協力を得て、小田野中央公園（西寺方町）－八王子市夕やけ小やけふれあいの里間を走る無料バスも運行する。