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多摩美と東大、らせん状の人工惑星開発へ-「はやぶさ2」への相乗り目指す

「はやぶさ 2」との相乗りが決まった「DESPATCH」

「はやぶさ 2」との相乗りが決まった「DESPATCH」

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は9月19日、小惑星探査機「はやぶさ2」の打ち上げの際に相乗りする小型副ペイロードの一つとして、多摩美術大学(八王子キャンパス=八王子市鑓水)と東京大学(文京区)が共同で開発を進める「深宇宙彫刻 DESPATCH(デスパッチ)」を選定したと発表した。

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 2014年中の打ち上げを予定している「はやぶさ2」。JAXAはこれに合わせ、ロケット打ち上げの際に生じる余剰能力を活用しようと今春、相乗りに向けた公募を実施。今回は「DESPATCH」と東京大学が提案した「PROCYON(プロキオン)」を合格、九州工業大学が提案した「しんえん2」を条件付き合格と判定した。

 人工衛星の技術をアートの分野に活用しようと企画された「DESPATCH」。多摩美大情報デザイン学科の久保田晃弘教授を中心とした「ARTSAT:衛星芸術プロジェクト」が手掛け、現在、開発が進められている「芸術衛星INVADER(インベーダー)」に次ぐ2機目となる。大きさは、幅=約50センチ、高さ=約50センチ、奥行き=約45センチ。重さは30キロ。3Dプリンターを使った宇宙機の実証やソーシャルネットワークを使って、多数の受信局からの情報を地上で再結合する「協調ダイバーシティ通信」などをミッションに据える。

 外観の自由度を高めるため太陽電池や2次電池は搭載せず、通信もモールス信号を送る「CWビーコン」のみとするなど工夫することで機器をコンパクト化。これにより、らせん状の筐体(きょうたい)を採用した「深宇宙芸術作品」の実現を目指す。特徴的なデザインとなるが、「こういう形状にした理由はたくさんありますが、芸術作品なので、まずは皆さん一人一人が想像してほしい」と久保田教授。「芸術作品にとってはわかること以上に大切なこともある」とも。

 相乗りが決まり本格的な開発に入る同機。機能的な寿命は1週間だが、同プロジェクトは「打ち上げ前に議論を深め、プロジェクトのコンセプトやミッションを多くの人々と共有できれば、電池の容量が少なくなり停波した後も、人工小惑星として深宇宙を航行し続ける造形作品としてのペイロードは人々の記憶と想像の中に生き続け、その寿命は永遠となる」と打ち上げへ期待を込める。

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