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武田信玄の娘「松姫」題材の小説 戦国末期から江戸初期の八王子描く

小説を書き上げた前野さん

小説を書き上げた前野さん

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 八王子在住の前野博さんが小説「松姫 夕映えの記 -八王子とともに-」を清水工房(八王子市追分町)の出版事業部門「揺籃(ようらん)社」から刊行して1カ月がたった。

完成した小説「松姫 夕映えの記 -八王子とともに-」

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 フリーペーパー「はちとぴ」などを発行している同社。八王子駅近くの西放射線通り(ユーロード)の商店街をまとめる「西放射線通り商店街振興組合」の理事長などを務めた前野さんは2020年、初めての小説「キミ達の青い空 -八王子空襲から75年-」(揺籃社)を書き上げており、今回は2作目となる。

 3年ぶりの新作となる同書は、武田信玄の四女で、「信松尼(しんしょうに)」としても親しまれた松姫を題材にした。松姫は武田家の滅亡後、現在の八王子市下恩方町に移り住むなど八王子の歴史と深く関わりがあり、今回は戦国末期から江戸初期を舞台に松姫をはじめとした八王子で生きた人の様子を描いた。本の帯には「松姫さまの数奇な運命」と一言添えた。

 小説は、松姫の命日に当たる4月16日に発刊した。小説は2年かけて書き上げたという。「八王子のことを知ってもらいたいと思い書こうと思った。その時に次は松姫かなと思った」と前野さん。「ほかの人の小説を読むと、松姫は甲斐国から逃げてきて、八王子に着いたところで終わることが多い。八王子の人たちとまちづくりをするという、その先を書こうと思った。戦国時代に生き、八王子城も落城してよく知っている人も亡くなっていく中、平和を求めていく松姫の姿勢は前作と通じるものがある」とも。

 毎日原稿用紙にして1、2枚ずつ書き進めたという。前野さんは「原稿用紙で500枚くらいになるかなと思っていたら、200枚分増えてしまった」と振り返る。前作「キミ達の青い空」の主人公であるキミや徳川家康に重用され、徳川幕府時代に勘定奉行、老中を務め、八王子のまちづくりを進めた大久保長安などさまざまなキャラクターが登場しストーリーを盛り上げる。「次の展開を考えると筆が進まなくなることもあったが、書いていくと人物が自然に動いてくれる。今は書いてよかったなと思う」と話す。

 「八王子のことを知ってもらいたいのが第一。八王子でも松姫のことを知らない人が多いのが現実だと思う。松姫は八王子の人の心の支え。こういう人がいたんだと知ってもらえたら。不安定な時代になってきているので、平和のことをみんなで考えてほしい」と前野さん。

 A5版、400ページ。価格は1,300円(税別)。

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